突っ込んだ話 前編 - 谷山浩子「カタツムリを追いかけて」

私の本業はSE(システムエンジニア

なんですが、先日、客と自社側、

双方への不満が臨界点を超え、

上司にその思いをぶつける機会をもらいました。

 

正直、自分の考えは半分くらいしか

伝えられなかったなぁという感触でしたが、

上司の考えは知ることができました。

上司の性格を考えると、合点もいくし、

現状がベターなのかなぁ…と、

ひとまずまた仕事頑張ろうという

気になれました。

話を真面目に聴こうとしてもらえるだけで

本当にありがたいことです。

 

そんな話の流れで、

ちょっと突っ込んだ話になりまして。

上司が、自分は学生時代、

人に教えることを全然してこなかった、

と言い出しました。

何故かというと、人に勉強を教えるだとか、

野球をチームメイトに教えるだとか、

そんなことは自分にとって

損だと思ったからだと。

それが自分のためにもなると知ったのは

社会人になってからだと言うのです。

 

 

 

 

私は幼い頃から、もっと幼い子を

可愛がるのが好きでした。

 

幼稚園のママ友繋がりで、

親たちが小学校の校庭を借りて

週1でテニスをしていたことがありました。

子供たちもついて行って、

皆でわきっちょで遊んでいたのですが、

自分は一番年上で、面倒見る係。

言葉を話し始めたばかりの子もいて、

すごく可愛がってました。

 

特に男の子。はい、当時から。

 

 

 

小学校での私は、たとえて言うなら

「口うるさい女子学級委員」でしたので、

おせっかいっぽく、同級生に勉強など

よく教えていました。

 

これは女の子相手がメイン。

だって男の子とは話が合わなくて、

あんまり仲良くなれなかったんですもん。

 

 

 

高1の時は、文化祭の委員会で

中1担当になって、クラス参加企画を

引っ張り上げる仕事。

高2の時はチーフとして、

中学生係員たちをどう一人前にするかを

ひたすら考えていました。

まぁしかしその子たちの可愛いこと。

キャンキャンうるさい子犬のようでした。

 

ええ。男子校だったので、全員男子です。

 

 

 

そんな感じで、面倒見るとか育てるとか、

そんなことが大好きでした。

就活を始めるギリギリまで、

教師を志望してもいました。

 

結局、男の子相手に罪を犯すのを恐れて

教師にはなりませんでした。

(嘘です。比較的年上の方が好みだし)

が、今でももちろん、

同じ課の後輩たちは、とても気になります。

 

今自分のいる部署は、

比較的若手が多いのですが、

自分はまだ教育する側には

携わっていません。

自分の仕事も忙しいので

傍から見ているだけですが、

んー。やっぱり育てるって、

誰でも出来るわけではないのだなぁと。

 

 

タツムリを追いかけるのは難しい

ほんのひと足歩いただけで

追い抜いてしまう

しかも相手は一度止まると

しばらくそこを動かず

やっと動けば 前には行かずに

上下の移動

追いかけるのは少し退屈

 

退屈でもよそ見をしてはいけません

油断をして本を読んだり

誰かとおしゃべり

ふと見るとどこにもいない

消える時だけは早いよ

ヤカンの下や 新聞紙の陰

なぜそこにいる?

ついつい指ではがしてしまった

 

・・・

どうしてそこで そっちへ曲がるの

どんな理由が

理由はない 曲がっただけ

 

窓を開け道を作る

青い夜 月明かりの中

輝く黄金の貝殻

 

・・・

いつの日か夢にまでみた

緑と水の楽園へ

手にのせて連れていくのは

やさしいけれど

あとをついて ついていくよ

今はまだ椅子の足の途中だけど

 

谷山浩子

「カタツムリを追いかけて」

 

 

 

 

 

件の上司との会話は、お酒の席ではなく、

普通に素面で、会議室でのことだったんですが、

「こんなことは生まれて初めて話した」

なんてことをおっしゃっていました。

今まで彼の周囲には、熱血、

もとい、暑苦しい人間が、

どうやらいなかったようです。

 

そんな暑苦しい私はと言えば、

上司(41歳男)が生まれて初めてした話で

ちょっと感極まったように

瞳を潤ませていたような気がして、

あまりに愛おしくなってしまって

「キスしてもいいですか」って

喉元まで出かかっていた、というのは

私だけの秘密です。