生まれ変わり繰り返す、悲しみとの決別 - 中島みゆき「HALF」

みゆきさん(中島みゆき)を追いかけ始めて

気が付けば、13年。

 

あ、追いかけると言ってもそれは

みゆきさんが歌う世界を

追いかける、ということで、

ラジオに投稿するとか、

ライブの出待ちをするとかは

一切したことがありません。

 

もし、レギュラー当時の

月曜深夜オールナイトニッポン

聴ける頃に生まれていたなら、

玄関少年は、やりたかったかな。

(※当時みゆきさんは、

 有楽町のニッポン放送玄関で

 入待ち出待ちをする方たちを

 玄関少年少女と表現していました)

 

 

 

ここまでの深みにはまったのは、

みゆきさんにハマり始めた頃、図書館で

中島みゆき論を見つけたのが

大きかったように思います。

 

何気なく聴いていた歌詞に、

ものすごーく深い意味を読み取ったり、

精神分析的な読み方ができたり、

そして、複数の曲の繋がりに、

彼女の持つテーマを見出したり。

 

単に「これ良い歌だな」と聴くのではなく、

どういうことを考えて、

何を表現しようとしている「作家」なのか

という聴き方ができるようになったことで、

みゆきさんの魅力に

更にハマっていくことになりました。

 

 

 

さて、最近知り合った人が、

中島みゆきの「HALF」が

好きだと言うので、

かなり久しぶりに聴きました。

この歌を好んで聴いていたころは、

まだ高校生でした。

同級生が好きだったけれど

もちろん告白なんてできなかった頃。

 

恋愛欲を満たすのはもっぱら、

ゲイ向け恋愛シミュレーションゲーム

(と綺麗に表現しておく)

ドキドキしたり切なくなったり

時には大泣きしたり。

とあるキャラクターに入れ込んで、

せっかく頑張ってエンドにたどり着いたら、

主人公(つまり自分)が斧を振り回し

そのキャラ(体育教師)と

そのパートナー(ヤクザ)を

監禁するというもので、

1週間くらい落ち込んだり。

UnderGround Campaign "メゾン・ド・エム"

 

 

 

…どうでも良いことをしゃべり過ぎました。

 

とにかく、そんな当時の私は

このHALFという歌を、

すれ違ってしまってから

好きだったことに気付く

切ない歌だなぁ~、

くらいに思っておりました。

 

 

 

それが、今聴いてみると。

「いったいこの人、何回このすれ違いを

 繰り返したのか?」ということが

とても気になってしまいました。

 

 

次に生まれて来る時は

めぐり会おうと誓ったね

次に生まれて来る時は

離れないよと誓ったね

なんで遠回りばかりしてきたの

私 誓いを忘れて今日の日まで

私たちは こうしてさすらいながら

この人生もすれ違ってしまうのですか

 

 

うーん。

「この人生も」と言うあたり、

やっぱり何度も繰り返しているような。

 

 

 

みゆきさんの音楽劇「夜会」では、

“転生” つまり生まれ変わりの概念が

非常に重要な役割を果たすようになります。

その原型が、この歌にはあるんじゃないか。

久しぶりに聴いてビックリしました。

 

みゆきさんの描く転生って、

繰り返しなんです。

おなじ悲しみを、何度も繰り返す。

「人生一度きりなんだから」

なんて言い方がよくされますが、その逆。

生まれ変わってもどうしても

同じ悲しみに行き着いてしまうのに対して、

だからこそ、今、今生(こんじょう)で

その無限ループから抜け出ましょう、

という発想法なのです。

 

 

 

もしあなたが、何か一歩踏み出せないで

躊躇っている時。

苦しい状態にあっても、

何とか自分が今我慢すれば良い、と

じっと堪えている時。

想像してみるのです。

もし同じあなたが、同じことを、

生まれ変わるたびに繰り返していたら…?

 

 

次に生まれて来る時は

めぐり会おうと誓ったね

次に生まれて来る時は

離れないよと誓ったね

せめて伝えたい 後ろ姿に

私 おぼえていたよと今さらなのに

もう一度誓いなおすことができるなら

この次に生まれて来る時は きっと

 

中島みゆき

HALF