「タメ」が歌から消えた日

今日は、母親との会話が

だいぶ盛り上がりました。

 

 

 

「この前、僕が歌うの聴いてて

 若い人はタメて歌わない、

 みたいなこと言ってたけど、

 例えばどんな感じ?」

 

「うーん…拍の通りに歌わないで

 声に感情が乗る感じかな。」

 

「タメすぎる歌手って誰?」

 

「えっ…森進一とかかなぁ。

 ぉおふくろぉお~さん…」

 

 

 

謡曲好きを自称する私ですが、

先日、勉強不足が露見したので、

Youtubeで予習復習し、

WiiUのカラオケで色々歌ってみました。

その時に母が、

タメがないなぁと言っていたのが

気になって、訊いてみたのです。

 

 

私の中の2大巨頭である、

中島みゆきさんと谷山浩子さんは

二人ともタメて歌わないので、

私にはタメが身についていません。

 

 

私の知っている範囲だと、

高橋真梨子さんなんかは、

過剰にならないタメと

自在な抑揚が本当に巧み。

この方の歌い方を真似ようとすると

まったく腹筋が足りません。

 

 

 

「最近の歌はリズム重視だし、

 そもそも感情を乗せるような

 歌自体がないよね」

 

「歌謡曲の頃のヒット曲って、

 阿久悠さんとか松本隆さん、

 阿木燿子さんあたりが

 大体作詞してて、

 映画や小説の一場面とか、

 絵画を思わせるようなものに

 一曲一曲がなってたけど、

 最近は、お題目になってるよね。

 スローガンとか、教室の前に

 貼ってある標語みたいな感じ」

 

 

 

謡曲って、中にはけっこう

「おいおいっ!これいいのかよ!?」

みたいなストーリーの歌詞もあったけれど、

そういう文学性の中に

直接的な言葉にはしづらい感情が乗って、

だからこそ、タメる歌い方が合っていた。

 

 

一方で、

標語をタメて語る人などいないわけで、

シュプレヒコールのように

リズム通りに歌うのが当たり前になる。

 

 

 

歌が標語になったから

リズム重視の方向へ行ったのか、

リズム重視に変わったから、

歌詞がそれに合わせていったのか、

ニワトリとタマゴかなぁと思いますが、

その転換点には

小室哲哉さんがいるような気がします。

もちろん、小室さんが変えたのではなく

まずそういう時代があって、

そこへちょうど小室さんが

ピッタリとハマったのでしょう。

 

 

 

 

せっかくこのブログのタイトルを

中島みゆきを聴く時は」

と名付けたので、ここでは

深い感情の想い出が乗る歌を、

歌そのものの魅力が

しっかり伝わるような形で

できる限り記事にしたいなぁと

考えています。

 

 

私は心の中に色んなものが渦巻くほうで、

(昔、好きだった人にそう言ったら、

 面倒くさそうに大きく頷いていたけど)

そういう心の渦を受け止めてくれる歌。

このブログでは結局、

みゆきさん谷山さんがメインに

なってしまうだろうけど(笑)、

そういう歌が、

これからの音楽シーンにも

増えていってくれるのを

願っています。

 

 

 

時代はまわり、めぐるものですからね。