うなされ続ける時代 - 中島みゆき「ベッドルーム」

「ラジオ瀬尾さん」という

ネットラジオ番組を、

このところ聴いています。

 

中島みゆきさんのプロデューサーであり、

アレンジャーでもある瀬尾一三さんは、

様々な著名アーティストの曲を

アレンジして来た大御所です。

そんな瀬尾さんの行きつけの

カフェ・マメヒコの店主が、

瀬尾さんに声をかけて始まったこのラジオ。

取り留めのない会話の中にも含蓄があり、

毎週の更新が楽しみな、素敵な番組です。

 

2018年9月28日配信の回を聴いていたら、

瀬尾さんがこんなことを言っていました。

 

今の世の中は、心に余裕がない。

本当は自分で

作っていけるものなんだけれど、

ペースを世の中に

合わせようとしてる。

作られてる。

昔はこんなに情報がなかったから、

自分のペースを作り易かった。

今は、周りがこうしているから、

自分はこうしなきゃ、

というのが慌ただしい。

 

目から鱗というか、

何となくどこかで分かっていんだけども、

言語化までは至っていなかったような、

感覚的なものを言葉にしてくれた感じ。

 

情報というのは、

使いこなせればとても便利な反面、

逆に情報に支配されてしまうというのも、

思う以上に身近な現象、

ということなのでしょう

 

情報過多の時代になったことは、

人々の行動、感情、人格形成に、

多大なる影響を確実に与えているはず。

とてもざっくりとした感想だけれど、

みんなのイライラが相互に

伝染しあっているような気がします。

 

つまり、誰が何をしてるのか、

誰が何を思い、発言しているのか、

という「情報」が多すぎる。

人間である限り、たまには妬みや憎しみを

持つこともあるのは仕方ないけど、

触れる情報の母数が多すぎて、

しょっちゅうイライラしている。

そんなイメージです。

 

そういえば、ネットマガジンの

cakesというサイトに連載している、

bar bossa の店主・林伸次さんの

この前の記事のタイトルは、

「インターネットは鍵のかかった部屋になる」

というものでした。

 

完全有料の記事と、

無料で読める記事の両方を書いている林さん。

無料でオープンな情報発信では、

とても面倒な横やりが入る

(いわゆるクソリプ)ことが多いが、

完全有料であればそれがない。

圧倒的に居心地が良い、閉じられた空間に

まとまっていくのではないか。

うろ覚えの内容で恐縮ですが、

こんな内容だったと思います。

 

クソリプ」という現象に対しては、

色々思うところがあるのですが、

今回はそれは置いておいて、とにかく、

大量の情報がものすごいスピードで

蠢くインターネットという空間の、

息苦しさ。ここからどう距離を置くか、

ということが、一つの課題になっている。

 

 

しゃがみ込む子供を 親は叱りとばし

しゃがみ込む親を 子は叱りとばす

叱らないでと うなされ続けている

覚えない子供を 親は怒鳴りつけ

覚えない親を 子は怒鳴りつける

怒鳴らないでと うなされ続けている

堅固な石垣で囲むベッドルームは

あなたをあなたから守るベッドルームだ

あなたがあなたの国の王であるように

他人も他人の国の王で

あり続けられますように

寝心地は最低 居心地は最高

心の中のベッドルーム

 

中島みゆき「ベッドルーム」

 

 

「親」「子供」は、

世代ととらえても良いかもしれないと、

書いていて思いました。

ずっと、血のつながっている

親子同士のことだと思っていたのですが、

とにかくポイントは「相互である」

ということのように、今は思います。

 

心の中のベッドルーム、

居心地は最高なんだけれど、

安心して眠ることは、できないわけね…